瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いについて②

前回のブログに引き続き、瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いについてご紹介したいと思います。

3つ目の違いは、隠れた瑕疵でなくても良くなった事です。

従来の瑕疵担保責任では、欠陥は隠れたものでなければ対象となりませんでした。どういうことかというと、契約を交わした時に、買主は欠陥について善意無過失の状態でなければなりませんでした。

善意無過失とは、無過失は一般的な意味ですが、善意はこの場合、ある事実について知らないことを指します。

現在の契約不適合責任では、買主の善意無過失は必要な要件ではなくなりました。買主が不注意で欠陥に気づかなくても売主に責任を追及できる可能性があります。

 

4つ目の違いは、損害賠償に売主の故意過失が必要になった事です。

瑕疵担保責任では、買主が売主へ損害賠償請求をする際に売主の故意や過失の有無は不要でした。

契約不適合責任では、民法第415条第1項において「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」と定められており、売主に故意や過失があることが必要な要件となります。

 

しかし、これは損害賠償請求権に限った話で、追完請求権の行使については、売主に故意や過失が無い場合でも、買主は売主へ履行の追完を請求することが可能です。

次回も引き続き、瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いについてご紹介したいと思います。

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マルタ不動産 髙木

瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いについて①

以前のブログで契約不適合責任(瑕疵担保責任)についてご紹介してきました。

今回は、そもそも2020年4月の民法改正で従来の瑕疵担保責任と現在の契約不適合責任にどのような違いがあるのかご説明したいと思います。

まず、1つ目の違いは、責任の対象の範囲です。

従来の瑕疵担保責任では、特定物にしか補償が適用されませんでした。

この特定物とは、取引の当事者が個性に着目した取引の目的物のことをさします。具体例を挙げると、不動産や中古車(状態や走行年数、走行距離が個々で異なり、まったく同じ状態のものが滅多にないため)などが該当します。

例えば、家具付きの物件を購入した場合、備え付けの家具は保証期間が1年以内と契約書に明記されていた場合、家具が一般的に流通している代替が可能なものの場合、不特定物に該当すると考えられ、保証期間が過ぎてしまうと買主に落ち度が無くても売主へ責任を追及することが出来ませんでした。

現在の契約不適合責任では、特定物か不特定かに関係なく、売買の対象物が契約目的と一致していなければ適用されます。

2つ目の違いは、買主が売主へ請求できる権利の数です。

瑕疵担保責任では、買主は売主に対して、損害賠償請求権と契約解除権しか行使できませんでした。しかも、契約解除権は、契約目的を達成できない場合にのみ限定されていました。

契約不適合責任では、以前のブログでもご紹介しましたが、従来からあった2つに加えて追完請求権、代金減額請求権も行使できるようになりました。

次回も引き続き、瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いについてご紹介したいと思います。

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契約不適合責任(瑕疵担保責任)について⑩

前回に引き続き、契約不適合責任についてご紹介したいと思います。

今回は、売主が宅地建物取引業者以外の法人の場合の免責の特約についてご説明します。

売主がその他法人の場合、消費者契約法第8条第1項において「次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする」と定められており、同法第8条第1項第1号で定められている「事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除(後略)」する条項が適用されるため、契約不適合責任の免責の特約が無効になる可能性があります。

また、同法第10条において「(前略)民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする」、民法第1条第2項において「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」と定められており消費者(買主)の利益を一方的に害する売買契約の条項は、原則無効となります。

例えば、不動産の引き渡し直後から契約不適合責任の免責が有効になるという特約は、買主の利益を一方的に害する契約の条項と考えられるため、基本的には無効となると考えられます。しかし、その他法人は宅地建物取引業者(不動産会社)には適用される宅地建物取引業法が適用されないため、買主は引き渡し後1年以内に契約不適合を売主へ通知しなければならないという特約が交わされている場合、その条項は適用される可能性が考えられますので注意が必要です。

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契約不適合責任(瑕疵担保責任)について⑨

前回に引き続き、契約不適合責任についてご紹介したいと思います。

今回は、売主が宅地建物取引業者(不動産会社)の場合の免責の特約についてご説明します。

売主が不動産会社の場合、不動産会社は、宅地建物取引業法によって免責の特約を設定するにあたって条件が定められています。同法第40条第1項で「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない」と定められています。条文の通り、不動産売却後2年を超える期間までは、売主である不動産会社は契約不適合責任を免責することができないという事です。

しかし、「通知期間(保証期間)を2年間とする」という契約を交わした場合、その契約は有効となります。引き渡し後2年以内に不適合がありましたと売主の不動産会社へ通知をすれば、契約不適合責任を負ってもらう事が可能です。しかし、2年以上経過した場合は、基本的に免責されるため、注意が必要となります。

次回は、売主が宅地建物取引業者以外の法人の場合の免責の特約についてご紹介したいと思います。

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契約不適合責任(瑕疵担保責任)について⑧

前回に引き続き、契約不適合責任についてご紹介したいと思います。

今回は、契約不適合責任の免責の特約についてご説明します。

契約不適合責任は、ケースバイケースにはなりますが、不動産を引き渡した後、契約不適合が見つかっても、売主は契約不適合責任を負わない契約(免責の特約)を結ぶということが可能です。

免責の特約は、売主の保証リスクを減らすことが出来ますが、買主にとっては後から雨漏りやシロアリなどの虫害を発見しても売主に保証してもらえなくなるなどデメリットがある契約となってしまいます。

そのため免責の特約は、売主と買主、双方が契約に同意しなければ有効になりません。

買主は、契約書に免責事項として記載されている内容が適切であるかどうか注意深く判断し、契約に同意する必要があります。

また、免責は売主によってつけられる条件が異なります。

個人、宅地建物取引業者(不動産会社)、その他法人の3つのパターンがありますので、今回は売主が個人の場合をご紹介します。

売主が個人の場合、基本的に免責の条件はありません。

個人間の売買では、適用される法律は民法のみであり、売主と買主、双方の合意があれば、任意に免責の特約を決められるからです。これは、仲介に不動産会社が入っている場合も同様です。

そのため、買主は、購入したい不動産の売主が個人であれば、免責の内容に関わらず、基本的に免責の効果があることを念頭に置く必要があります。

次回は、引き続き、売主によって変化する免責の特約の条件についてご紹介したいと思います。

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契約不適合責任(瑕疵担保責任)について⑦

前回に引き続き、契約不適合責任についてご紹介したいと思います。

今回は、契約不適合責任の期間についてご説明します。

まず、契約不適合責任の期間ですが、民法第566条において「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」と定められています。

つまり、契約不適合が生じた際に、原則買主は契約不適合(例えば、雨漏りやシロアリなどの虫害など)があることを知った時から1年以内に売主に対して不適合が存在するという事を通告しなければ、追完請求権や代金減額請求権などの売主に対して契約不適合責任を追及する権利を失うという事です。

これは、通告だけで問題ありませんので、買主は発見したらすぐに売主へ連絡するように注意が必要です。

しかし、民法第566条において「売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない」とも定められているため、売主の過失が大きい場合は、不適合を知った時から1年以上が経過していても追及する権利が失われない場合もあります。

無事に売主へ不適合を知った時から1年以内にその旨を通告して、契約不適合を追及する権利を保持した時もその後の権利を行使する場合にも注意が必要です。

民法第166条第1項において「債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する」と定められており、その条件は、①債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。②権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。とされています。

つまり、買主は契約不適合を知った時から5年間、もしくは、不動産の引き渡しの時から10年間、契約不適合責任の追及をしない場合、契約不適合責任を追及する権利は時効消滅してしまう事になります。

そのため、契約不適合を発見したら、速やかに通告、追及する権利の行使をする事が大切になります。

次回は、契約不適合責任の免責の特約についてご紹介したいと思います。

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契約不適合責任(瑕疵担保責任)について⑥

前回に引き続き、契約不適合責任が発生した場合、買主が売主へ請求できる権利についてご紹介したいと思います。

今回は、契約解除権についてご説明します。

契約解除権とは、民法第564条第1項「(前略)第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない」と民法第541条「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる」において定められている権利のことです。

そのため、買主は契約不適合があった時に、売主側へ履行の追完を催告したにも関わらず、一定期間内に売主が履行の着手を行わない場合、契約を強制的に解除することが出来ます。

また、民法第542条第1項において「次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる」と定められています。

この条件とは、以下の5つです。

①債務の全部の履行が不能であるとき。

②債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

③債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。

④契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。

⑤前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。

上記の内容に該当する場合、買主は、売買契約を解除することが出来ます。

しかし、契約不適合の程度が契約内容や社会通念に照らし合わせて、軽微ではなく、かつ売主が履行の追完を拒否した場合や履行の追完が不能である場合などに限られます。

全ての契約不適合で契約解除権が適用される訳ではありませんので、注意が必要です。

次回も引き続き、契約不適合責任の期間や免責の特約についてご紹介したいと思います。

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契約不適合責任(瑕疵担保責任)について⑤

前回に引き続き、契約不適合責任が発生した場合に買主が売主へ請求できる権利についてご紹介したいと思います。

今回は、損害賠償請求権についてご説明したいと思います。

まず、損害賠償請求権とは、民法第564条第1項「(前略)第四百十五条の規定による損害賠償の請求(中略)の行使を妨げない」と民法第415条第1項「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」において定められている権利の事です。

例えば、引き渡された建物に、契約書には記載されていなかった雨漏りが発生しており、家具や内装などに修繕をしなければならなくなった時に、売主へ修繕費を請求することが可能です。

しかし、損害賠償請求権は、民法第415条第1項条文の続きに「(前略)ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」とあるため、売却する不動産の価値を下げたくなくて故意に瑕疵を隠したなどの売主側の過失によって契約不適合が生じた訳ではない場合、損害賠償請求権を行使しても認められない場合がありますので、注意が必要です。

次回も引き続き、契約不適合責任が発生した場合に買主が請求できる権利についてご紹介したいと思います。

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契約不適合責任(瑕疵担保責任)について➃

前回に引き続き、契約不適合責任についてご紹介したいと思います。

今回は、契約不適合責任が発生した際に買主が請求できる権利についてご説明します。

買主が購入した不動産に瑕疵があることを発見し、売主に対して請求できる権利は、追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求権、契約解除権の4種類です。

まず、追完請求権とは、民法第562条第1項において「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」と定められています。

つまり買主は、引き渡された土地や建物に契約内容と不適合する部分(瑕疵)を売主に対して補修工事などの方法によって、契約内容に適合させるように請求することができます。

次に、代金減額請求権とは、民法第563条第1項において「前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる」とされています。

これは、買主が前述した追完請求権に基づき、売主へ履行の追完を請求したものの、売主が履行の追完を拒否した場合や履行の追完が不可能な場合に請求できる権利です。

引き渡された不動産が契約内容と不適合な部分の程度に応じて、売買代金の減額を請求することができます。

次回も引き続き、買主が請求できる権利についてご紹介したいと思います。

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契約不適合責任(瑕疵担保責任)について③

前回に引き続き、瑕疵についてご紹介したいと思います。今回は、心理的瑕疵と環境的瑕疵についてご説明します。

まず、心理的瑕疵とは、構造や設備などの面には問題が無いものの、住む人に心理的な抵抗や嫌悪感を与える事由がある状態のことを言います。

具体的には、一般的に「事故物件」と呼ばれるような過去に自殺や殺人、火災、忌まわしい事件や事故などがあった不動産が当てはまります。

自然死の場合は、原則として心理的瑕疵に該当しませんが、特殊清掃が必要となるほどの一定期間放置された孤独死の場合は、心理的瑕疵に含まれます。

次に、環境的瑕疵とは、心理的瑕疵のように不動産そのものに欠陥はないものの、現在の周辺環境に問題がある状態のことを言います。

具体的には、土地や建物の近くに嫌悪施設がある物件などが該当します。

嫌悪施設とは、近隣の住民から建設を嫌がられてしまうような施設のことです。

例えば、騒音や悪臭、大気汚染、水質汚濁などを発生させる工場や処理場などの公害発生の恐れのある施設、刑務所や火葬場、墓地、下水処理場、ごみ焼却場などの不快感を与える恐れのある施設、ガソリンスタンドや原子力関連施設、大規模変電所、高圧線鉄塔などの危機感を与える恐れのある施設、パチンコ店や風俗店などの風紀を乱す恐れのある施設、廃墟などの地域のイメージを低下させる恐れのある施設が該当する可能性があります。

 

心理的瑕疵や環境的瑕疵は、今までご紹介した瑕疵とは違い、不動産自体には問題が無いけれど、住環境が心地よいかどうか、買主や借主それぞれの基準となるため、どの要素が瑕疵に該当するのか判断基準は曖昧となります。

特に環境的瑕疵は、上記の内容には該当しない学校もお子さんがいらっしゃるご家庭なら学校が近くて安心となりますが、運動場の砂ぼこりや子どもの声、チャイムの音などで不快な思いをする事も考えられます。

そのため、不動産だけでなく、不動産の周辺環境の情報収集することはとても大切になります。

次回は、契約不適合責任が発生した際に買主が請求できる権利についてご紹介したいと思います。

不動産のご相談などありましたら、マルタ不動産をよろしくお願い致します。

 

マルタ不動産 髙木