今回は、前回のブログで名称だけ紹介した日影規制について説明したいと思います。
日影規制とは、建築基準法第56条において定められているもので、1年の中で日の出から日の入りまでの時間が最も短く、最も影が長くなる冬至を基準として、一定時間以上の日影が生じないように建物の高さを制限する規制です。
この日影規制が制定された背景として、1970年代に入って次々とマンションなどの高層の建築物が建てられるようになり、日照阻害の問題が注目され、日照権の訴訟が頻発したことがあります。
日影規制で規制を受ける建物は、建てる場所の用途地域と高さによって決められています。例えば、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域は、「軒の高さ」7mを超える建築物、または、地階を除く階数が3以上の建築物が対象となりますが、それ以外では、商業地域、工業地域、工業専用地域を除いた用途地域については、高さが10mを超える建築物などが対象となります。
「軒の高さ」とは、土地面から屋根組みまでの高さのことです。屋根の頂点ではありませんので、一般的な一戸建てであれば、軒の高さ7mを超える建築物は3階建てという認識で問題ないかと思います。
また、地域によって環境や土地の利用事情が異なりますので、自治体の条例で指定されることもあります。
どの時間にどのくらいの制限が設けられているのかというのは、「5h-3h/4m」のように表記されます。
「5h-3h」は、基準となる冬至の日に敷地境界線から5~10mの範囲では5時間まで、10mを超える範囲は3時間までなら日影がかかってもよい制限時間であることを意味しています。
「4m」は、測定する高さが地盤面から4mであることを表しています。
今までご紹介した建物の高さの制限との大きな違いは、日影を規制の基準としていることです。今までご紹介した建物の高さの制限は、建物がどの用途地域に建てられているかどうかで制限の有無が決まりましたが、日影規制は日影規制対象区域外の建物であっても、高さが10mを超えるもので、かつ日影規制対象区域内に日影を生じさせる場合は、適用対象区域内にある建物とみなされ、規制の対象となります。
日影規制はインターネットでも検索できますので、もしこの地域で一戸建てを建てたいと考えている場合は、下調べしてみるのも良いかと思います。
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建築基準法|e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201_20240619_506AC0000000053
マルタ不動産 髙木