不動産売買の手付金について③

今回は、前回に引き続いて、不動産売買における手付解除についてご紹介したいと思います。

民法557条において、「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない」と定められています。

上記のことから、買主は売主に支払った手付金を放棄すること、売主は買主に手付金の倍額を支払うことで不動産売買の契約を解除することが出来ます。これを手付解除といいます。

しかし、手付解除はどんな時でも行う事ができる訳ではありません。

先ほどの条文にある通り、相手方が契約の履行に着手した場合は、手付解除は出来なくなります。

それでは、相手方が契約の履行に着手したと言えるタイミングは、どのような時なのでしょうか。

例えば、買主が売買代金を支払う事は、契約の履行に着手していると言えます。そのため、もし買主が売主へ内金や中間金など残りの売買代金を支払った場合、買主は既に契約の履行に着手している事になるため、売主は手付解除出来ません。

また、買主が残りの売買代金を準備して、売主にその旨を知らせて、売主側の履行を催促した場合も買主は契約の履行に着手しているため、売主は手付解除出来ません。

逆に、売主が引渡し、移転登記の準備を完了して、買主に司法書士事務所での移転登記手続きを行う旨を知らせた場合、売主は契約の履行に着手しているため、買主は手付解除出来ません。

また、売主が買主の希望する物件の修繕やリフォームを開始している場合も売主は契約の履行に着手しているため、買主は手付解除出来ません。

上記のタイミングで手付解除を相手方に申し出ても、その申し出は無効とされるので、注意が必要です。

様々な事情で契約を解除する場合は、できる限り早く申し出ることが大切になります。

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