瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いについて③

前回に引き続き、瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いについてご紹介したいと思います。

5つ目の違いは、損害賠償の範囲です。

従来の瑕疵担保責任の場合では、損害賠償の範囲は「信頼利益」に限られていました。

信頼利益とは、日本国語大辞典によると、無効な契約を有効と信じたことによって受けた損害のことで、契約締結のための調査費用、履行の準備費用などが損害賠償の範囲とされていました。

 

一方で、現在の契約不適合責任の場合は、「履行利益」まで請求できるようになりました。

履行利益とは、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典によると、債権(契約)が有効に成立した場合、それが完全に履行されることによって債権者(買主)が受けるであろう利益のことで、信頼利益に対する概念です。例えば、契約が履行されなかったため、債権者が別人とさらに契約を余儀なくさせられたための余分の出費も賠償の範囲に入ります。

6つ目の違いは、責任追及の期間の違いです。

瑕疵担保責任の場合では、買主は瑕疵を知ってから1年以内に売主に対して責任追及の追及する旨の意思表示をしなければなりませんでした。

これに対して、契約不適合責任の場合は、以前のブログでもご紹介しましたが、買主は瑕疵を知ってから1年以内に売主に対して契約不適合の事実を通知すれば、その後にどのような内容で責任追及の請求を行うか考えることが出来るようになりました。

しかし、通知をすれば、請求権は失われないという訳ではありません。

民法第166条の債権等の消滅時効に関する条文において、債権者が権利を行使することができることを知った時(不適合を知った時)から5年間行使しない時、権利を行使することができる時(引渡しの時)から10年間行使しない時は、請求権が時効消滅してしまうため、注意が必要です。

以上が民法改正による瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いです。

買主の権利が従来に比べると格段に保障されるようになりました。

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信頼利益とは?|コトバンク(精選版 日本国語大辞典)

https://kotobank.jp/word/%E4%BF%A1%E9%A0%BC%E5%88%A9%E7%9B%8A-82700

 

履行利益とは?|コトバンク(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)

https://kotobank.jp/word/%E5%B1%A5%E8%A1%8C%E5%88%A9%E7%9B%8A-148630

 

民法|e-Gov法令検索

https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

 

マルタ不動産 日比野竜一